西部湯瓜のshow論文

思考のログがメイン。他にも色々。

世界は幻で、カラスは白い。

私たちが観ている世界は幻かもしれない。

目の前に真っ赤な林檎があるとする。
この林檎が赤いということに、私たちは何ら疑問を持たない。

本当にその林檎は赤色をしているだろうか?

果たして、科学的に赤色だと断定できるだろうか?

多くの人はこの問いにイエスと答えるだろう。
でも、例えばあなたがサングラスをかけていたとしよう。それもレンズの色がとても濃いサングラス。さらに、生まれた時から一生サングラスをかけ続けるとしよう。それでも林檎は変わらず赤いだろうか?サングラスのレンズについた色のせいで、モノクロに見えてしまい、とても赤色には見えないはずだ。そう考えると、その林檎は赤くないと言えるのではないか?

「いやいや、それはサングラスをした人の主観でしょう?客観的には、間違いなく赤色ですよ」

なるほど、その通りだ。

では、こんな場合はどうだろう?

空からUFOに乗った宇宙人がやってきた。彼らは遠い遠い銀河からやってきたナントカ星人。ナントカ星人は地球の1億倍くらい進んだ科学力を持っていて、宇宙を飛び回るなんて楽勝だ。それだから、今は色んな星を探索している最中だという。今回もその一環で地球を調査しにやって来たのだと。もちろんナントカ星人の喋る言葉は地球人の言語とは違うけれど、宇宙最高峰の科学技術を誇る彼らにとって、劣った未開人(つまり、地球人)に意志を伝達するなんて簡単なことだ。彼らが喋ると、何やらスピーカーに似た機械を通して、日本語だか英語だかに自動翻訳されて聞こえてくる。凄い。

その彼らは言う。

「おい、君たち地球人は林檎が赤色だと言うのか?全くバカだな。黄色に決まってるじゃないか」

科学の最先端を走るナントカ星人の話によると、林檎は黄色だし、カラスは真っ白なのだそうだ。宇宙レベルで見れば、地球人の眼球は劣っていて、物質をありのままの色で認識できていないのだと言う。イマドキ、何星人が見たって、林檎は黄色だと。疑う地球人に、次の日、彼らは変な眼鏡を持ってきた。1日で開発したと言う、そのハイテク眼鏡をかければ、世界の真の姿が見えるらしい。地球人は言われるがままに眼鏡をかけて、あたりを見渡す。真実の林檎は黄色く染まっていて、カラスは白く、地球は涙が出るほど美しかった。

彼らは言う。

「林檎が赤色なのは、劣った眼球を持つ君たちの”主観”に過ぎない。”客観的”には林檎は黄色なんだよ」

今でもあなたは林檎が客観的に赤いと言い切れるだろうか?

つまり、私たちは主観的にしかこの世を観ることができない。そして、もうお気づきの通り、それは彼ら宇宙人とて同じこと。今度はもっと科学の先を行く異星人が「林檎は本当は黒色だ」などと言い出すかもしれない。つまり、客観的に物を認識することは、そもそも不可能なのだ。(*1)

というような主張を展開した一人の男がいる。

彼の名はカント。
 
僕のツイッターアカウントは@save_yuriです。フォローをよろしくお願いします。
 
純粋理性批判〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

純粋理性批判〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

 

 

純粋理性批判 上

純粋理性批判 上

 

 ____

*1...本当に”客観的”があり得るとすれば、それを知っているのは、宇宙人ではなく、宇宙の外(?)にいる神だけだろう。