西部湯瓜のshow論文

場末の劇場へようこそ

卓球ではスマッシュを打ってはいけない。

<はじめに(結論)>

今日は、卓球の世界で、本当は皆が知っているのに、誰も語りたがらない一つの真実について話そうと思う。

結論から言おう。
それは、スマッシュは決して打ってはいけない、ということだ。

<アマチュア編>

数年間トレーニングを積んだ卓球経験者なら誰でも知っていることだが、スマッシュは試合で入らない。
全く入らない。
スマッシュは、相手のボールが高くバウンドしたチャンスを狙う基本的なプレーとされている。
しかし、入らない。
試合に限って入らない。
ただし、練習ではポンポン入る。
原因はとても単純だ。
試合という本番の場では、目の前にチャンスのシーンが来た時、練習では体感したことのないプレッシャーがかかる。まさか自分のチャンスで失敗するわけにはいかないと思い、余計に緊張し、身体がわずかに強張る。それによって、ほんの少しだけフォームが崩れるのだ。卓球のような繊細なスポーツにとって、少しのフォームの乱れは命取りだ。

さて、こんなことは卓球を数年やっていれば本当に誰でも知っている。

それでも、なぜアマチュアはスマッシュを打ってしまうのだろうか?

その理由は、「何年も卓球をやっているから」に他ならない。
ちょっと想像してみてほしい。
何年も卓球をやって上達した自分を。
たとえば、3年間も卓球をやっていたら、スマッシュが身についていないはずがない。と思ってしまう。
だって、これまでに練習で決めてきたスマッシュの数は、何千回にも及ぶのだ。
当然、スマッシュなどという入門書の2ページ目に載っているような簡単な基本プレーはマスターしたはず。そう思って当たり前だ。
そして本番で失敗する。
毎回のようにチャンスシーンで身体が強張り、フォームが崩れる。
そして歳月をかけて、「身体が萎縮してボールを外す」までの一連の誤ったフォームが身体に染み付いていく。
やがてそれは試合専用フォームとなって完全に確立される。
もう戻れない。
外す。
ことごとく外す。
高く跳ね上がったチャンスボールを前に、唾を飲み込み、スマッシュを放てば、ある時はネットに引っかかり、ある時は空振りし、ある時は宇宙を開発する。
スマッシュはチャンスどころか、むしろリスクである。

<プロ編>

プロはスマッシュをガンガン決めることができる。
世界大会の決勝戦のようなプレッシャーがかかる場面であっても、練習の時と変わらぬパフォーマンスを発揮できるよう鍛え抜かれている。
そしてその威力はアマチュアのそれとは比べ物にならない。
鬼のような剛速球だ。
なるほど、プロにとってスマッシュはチャンスだ。
大間違いである。

テレビで卓球の試合を観たことがある人なら誰でも知っていることだが(観たことが無い人はYoutubeで「卓球 スーパープレー」で検索GO)、プロはスマッシュに対して、スマッシュで応じる。
つまり、スマッシュをスマッシュで打ち返す。

ということは、どういうことか?

チャンスボールが来て、もしスマッシュを放てば、次に自分に返ってくるのは、鍛えぬかれた威力満点のスマッシュなのだ。
鬼のような剛速球なのだ。
つまり、スマッシュを打つということは、自分の首を締めるも同じなのだ。
スマッシュは決してチャンスではない。
リスクだ。

それでも、なぜプロはスマッシュを打ってしまうだろうのか?

その理由は、「プロだから」に他ならない。
プロたるものチャンスボールが来たら、スマッシュを打たねばならない。
なぜなら、チャンスボールをミスせずにスマッシュできることこそ、プロをプロたらしめる所以なのだから。
剛速球で打ち返されると分かってはいても、それでもスマッシュしなければアマチュア以下である。
観客やテレビの前の視聴者に格好がつかない。
アマ以下なら卓球をやめた方がマシだ。
こうして選手達は今日もスマッシュを打ち、そして負けるのだ。

<おわりに>

最後に、これまで述べた『スマッシュはリスク論』のロジックの矛盾について自ら指摘したい。

プロがスマッシュをスマッシュで打ち返せるということは、その返されてしまったスマッシュもスマッシュで打ち返せるということだ。
実際に、テレビで放送されるプロの試合を観てもらえば分かる通り、プロの試合ではスマッシュの応酬が繰り広げられる。
だから、プロに関して言えば、スマッシュを打つ側が負けるとは限らないだろう。

チャンスボールとなる浮き球があがったら、スマッシュが放たれる。それを、いとも簡単にスマッシュで打ち返したと思ったら、これまた鬼のようなスマッシュが飛んでくる。と思いきや、それがまたスマッシュで返される。そしてスマッシュで跳ね返す。スマッシュに次ぐスマッシュ、スマッシュ、スマッシュ...。

だとしたら、全く効果の見えないこのスマッシュとやらは、一体何なのだ?

この謎については今後の課題としたい。

 

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